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二本松写真ニュース
2010年
日号
(平成22年)
http://pnews.bine.jp
(1200×1700)
 1月23日(土)午前7時20分、昨晩から安達太良山薬師尾根で遭難、家族から捜索依頼が出ていた 68歳男性が無事救出された。男性は昨日午後単独で入山、午後9時に「道を失って薬師岳付近でビバークしている」という携帯電話を最後に連絡を絶っていた。 
 翌日は快晴・弱風。午前7時前に関係者が奥岳レストハウスに集合、捜索行動打合せを開始した。午前7時には県警ヘリが飛来。8分には「捜索対象者発見 手を振っている」の連絡、「場所はゴンドラ駅から西200b、ゴンドラ駅に向かって登っている」。この段階で、居場所は確認できたものの、ヘリによる吊り上げ救助できない場合に備えて救助隊もゴンドラ山頂駅に移動した。下降接触した隊員からは「要救助者外傷無し、本人は救急車は必要ないと言っている」などの連絡。15分後山頂駅到着待機、2分後へりが意外と近くの木陰から急に離陸した。対象者は居場所を薬師岳の下、北側の「五葉松平」と伝えて来ていたが、実際は「薬師岳の西、南側斜面」だった。ヘリだったので広範囲の捜索ができたが、天候不良で地上を歩きながらの捜索では 発見に至ったかどうかもわからない。
 対象者無事収容となり、阿部健救助隊長は救助隊を現地で解散、各自下山となった、ゴンドラで下山したことは言う迄もない。
ゴンドラ山頂で 対象者を収容したヘリを見送る捜索隊
 前日、捜索対象者は午後2時にゴンドラ駅に現れた。軽装で小さなザック、一般的な長靴に軽アイゼンという姿。今から山頂まで行って来るという話にゴンドラ駅員は「今日は天気も悪いし、視界も良くない、その姿では行けない、無理はするな」と何度も止めたが聞かず 大丈夫だと言って 往復ゴンドラ券を買って入山した。ゴンドラ駅員は「帰ってきた時ゴンドラは動いていないと思う、そのときは夏道(五葉松平経由)は止めて、ゲレンデをジグザグに下るよう」話をした。お釣りを出すのに事務室に下がったので時刻は確かめたという。当日入山者はその後1名、装備は十分のように見受けられたが、途中で視界不良のため引き返して来てゴンドラで下山した。ゴンドラ営業時間の終了に際し、山頂駅員は近場に居ないかと「声かけ」を行ったが、確認できなかった。
 ゴンドラ駅午後2時発というのはいかにも遅すぎる、夏場でも山頂往復は最低3時間、この時期だと余計時間がかかりゴンドラ営業時間内の午後4時までには戻れない。ゴンドラ駅員は「今日は捜索になるぞ」と話していたという。

【安達太良山の冬】
▼初雪〜2月中旬、積雪は2メートル程度、さらさら雪で 樹林帯では、樹木の根元に根元を隠すように積もり登山道は隠れてしまい、夏道は辿れない。積もっても軟雪なので、ツボ足だと腰まで潜る、樹木も中途半端な高さまで埋められているので、歩行時邪魔になる。スノーシューがベストでスキー登山は締まった所だけ。
「土手雲」という安達太良山に特有の 山脈に平行に風下側にできる南北に長い雲があるが、是がある内は大陸からの寒気の吹き出しが強いと言うこと、天候は回復しない。吹雪時には 視界は無くなる、風も強く立って歩けない。登山には最悪の時期と言っていい。季節風の時期、「モンスーン」の時期はヒマラヤ登山も避けられていた。
▼2月中旬以降、積雪で樹木は完全に埋まり、日中の太陽光線は積雪を締め堅める。大陸からの移動性高気圧が来るようになると、その時天候は安定し、安達太良山全山が輝くように晴れる、風もなく、日向では暑さを感じる。そんなときが雪山登山にはベストだ。
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第一次公開2008−03−11